第3章 「Ⅲ 胃腸に作用する薬 」1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬) ( 6.5 p)
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「Ⅲ 胃腸に作用する薬」1-1)胃の不調、薬が症状を抑える仕組み ( 1 p)からは1つ、1-2)代表的な配合成分等、主な副作用、相互作用、受診勧奨 ( 5.5 p)からは6つの頻出項目があります。
H21~23年の3年間は3問出題されましたが、それ以降は1~2問の出題となっています。
7つの項目を押さえておけば、2問は得点できるでしょう。
1-1)胃の不調、薬が症状を抑える仕組み
第1項
制酸薬は、胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐きけ等の症状を緩和することを目的とする医薬品である。その配合成分としては、胃酸の働きを弱めるもの、胃液の分泌を抑えるものなどが用いられる。 |
制酸薬は、胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐き気等の症状を緩和することを目的とする医薬品である。(H22) |
消化薬は、胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐き気等の症状を緩和することを目的とする医薬品である。(H24) |
制酸薬は、胃液の分泌低下に伴う腹部の不快感、吐きけ等の症状を緩和することを目的とする。(H26) |
まずは、制酸薬についての問題です。
(胃)酸を制する(=抑える)薬ということを理解しておけば難しくはないでしょう。
1-2)代表的な配合成分等、主な副作用、相互作用、受診勧奨
(a)制酸成分
第7項
中和反応によって胃酸の働きを弱めること(制酸)を目的として、 i) 炭酸水素ナトリウム(重曹)のほか、 ii) 乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウムモノアセテート等のアルミニウムを含む成分、 iii) ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウムを含む成分、 iv) 合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のアルミニウムとマグネシウムの両方を含む成分、 v) 沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等のカルシウムを含む成分、又はこれらの成分を組み合わせたもの 等が配 合されている場合がある。 |
合成ヒドロタルサイト - 制酸作用(H22) |
酸化マグネシウム - 中和反応によって胃酸の働きを弱める。(H27) |
炭酸水素ナトリウム - 胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する。(H29) |
無機塩類(=ミネラル系)を含む成分は制酸薬として利用されます。
ミネラル系は酸を抑えると覚えておきましょう。
第11項
制酸成分のうちアルミニウムを含む成分については、透析療法を受けている人が長期間服用した場合にアルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を引き起こしたとの報告があり、透析療法を受けている人では使用を避ける必要がある。また、透析治療を受けていない人でも、長期連用は避ける必要がある。 |
3包(3.84g)中 銅クロロフィリンカリウム 120 mg 無水リン酸水素カルシウム 1020 mg 沈降炭酸カルシウム 1020 mg 水酸化マグネシウム 960 mg ロートエキス3倍散 90 mg *********************************** 沈降炭酸カルシウムは、無機塩類を含む医薬品成分であるため、腎臓病の診断を受けた人が使用する場合には、事前に医師等に相談をすることが望ましい。(H21) |
透析療法を受けている人に対し、制酸成分としてアルミニウムを含む胃腸薬の使用を避けるよう説明した。(H24) |
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用もあるとされるが、アルミニウムを含む成分であるため、透析療法を受けている人では使用を避ける必要がある。(H25) |
全てYesです。
アルミニウムだけに限らずカルシウムやマグネシウムなど、無機塩類を含む成分は腎臓に負担がかかることがあると理解しましょう。
更に透析患者さんにおいてはアルミニウムは透析で効率よく除去できないため、要注意です。
(b) 健胃成分
第15項
② センブリ リンドウ科のセンブリの開花期の全草を基原とする生薬で、苦味による健胃作用を期待して用いられる。 |
センナ - 苦味により、弱った胃の働きを高める。(H23) |
センブリは、リンドウ科のセンブリの開花期の全草を基原とする生薬で、苦味による健胃作用を期待して用いられる。(H26) |
センブリ - 胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する、荒れた胃粘膜の修復を促す。(H27) |
バラエティ番組の罰ゲームでおなじみの「センブリ」は、千回振り出し(煎じ)てもまだ苦い、という意味で名づけられたそうです。
その苦みによって胃を元気にする「苦味健胃」成分として覚えておきましょう。
(c) 消化成分
第20項
胆汁末や動物胆(ユウタンを含む。)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。これらの成分は肝臓の働きを高める作用もあるとされるが、肝臓病の診断を受けた人ではかえって症状を悪化させるおそれがある。 |
3包(3.84g)中 銅クロロフィリンカリウム 120 mg 無水リン酸水素カルシウム 1020 mg 沈降炭酸カルシウム 1020 mg 水酸化マグネシウム 960 mg ロートエキス3倍散 90 mg *********************************** 銅クロロフィリンカリウムは、胆汁の分泌を促す作用により消化を助ける効果を期待して用いられるが、肝臓病の診断を受けた人では、かえって症状を悪化させるおそれがある。(H21) |
ウルソデオキシコール酸 - 利胆作用(H22) |
ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。これらの成分は肝臓の働きを高める作用もあるとされるが、肝臓病の診断を受けた人では、かえって症状を悪化させるおそれがある。(H25) |
ウルソデオキシコール酸は医療用としても汎用されている、肝機能改善薬です。
消化を促進する作用と肝臓の機能を高める作用がありますが、肝臓に働きかける成分なのでかえって肝臓に負担がかかることがあることに注意しましょう。
- 〇〇コール酸=利胆作用(胆汁分泌促進)=消化促進
- 〇〇コール酸=肝機能改善あり ⇔ 肝臓病ではかえって悪化
の2点を押さえましょう。
(d)その他の成分
第21項(過去3回出題)
① 胃粘膜保護・修復成分 胃粘液の分泌を促す、胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する、荒れた胃粘膜の修復を促す等の作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)、アルジオキサ、スクラルファート、ゲファルナート、ソファルコン、テプレノン、セトラキサート塩酸塩、トロキシピド、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、メチルメチオニンスルホニウムクロライド等が配合されている場合がある。 |
塩酸セトラキサート - 胃液の分泌を抑える。(H21) |
スクラルファート - 蛋たん白質の分解に働く酵素を補い、消化を助ける。(H21) |
テプレノン - 胃液の分泌を促進する。(H21) |
スクラルファート - 消化管内容物中に発生した気泡の分離を促す。(H27) |
アルジオキサ - 過度な胃粘液の分泌を弱める。(H29) |
全てNoです。H21年はこれだけで1問(1点)獲れました。代表的な商品は、
スクラルファート:「スクラート胃腸薬」(ライオン)
テプレノン:「セルベール」(エーザイ)
などです。登録販売者試験では、これくらいを覚えればいいでしょう。しかし現場では商品のパッケージに記載された配合成分を見て、胃粘膜修復系と分かるようにしっかり押さえておきたいですね。
第25項(過去5回出題)頻出です!
④ 胃液分泌抑制成分 胃液の分泌は副交感神経系からの刺激によって亢進することから、過剰な胃液の分泌を抑える作用を期待して、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えるロートエキスやピレンゼピン塩酸塩が配合されている場合がある。 |
胃液の分泌は、( a )神経からの刺激によって亢進することから、過剰な胃液の分泌を抑える作用を期待して、( a )神経の伝達物質である( b )の働きを抑える塩酸ピレンゼピン等が配合されている場合がある。(H21) |
塩酸ピレンゼピン - 健胃作用(H22) |
ロートエキス - 胃粘膜保護作用(H22) |
過剰な胃液の分泌を抑える作用を期待して、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えるロートエキスが配合されている場合がある。(H23) |
ピレンゼピン塩酸塩 - 炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質等の分解に働く酵素を補う。(H27) |
ロートエキス - アセチルコリンの働きを促し、消化を助ける。(H29) |
ピレンゼピン塩酸塩 - アセチルコリンの働きを抑え、過剰な胃液の分泌を抑える。(H29) |
お腹がすく=消化器官の活動が活発になるのは、緊張している時ではなくリラックスする時です。つまり副交感神経の働きです。
まずは、ピレンゼピンやロートエキス=抗コリン作用 、であることを覚えましょう。
そして、抗コリン作用⇒胃酸分泌抑制、となることも覚えましょう。
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第3章関連リンク=====================
第3章 主な医薬品とその作用(出題傾向)
Ⅰ 精神神経に作用する薬(7~8問)
1 かぜ薬 (3~4問)
6 小児の疳(かん)を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬) (0~1問)
Ⅱ 呼吸器官に作用する薬(3~4問)
1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)(2~3問)
2)代表的な配合成分等、主な副作用 efg 、3)相互作用、受診勧奨
2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽(そう)薬) (1問)
Ⅲ 胃腸に作用する薬(4~6問)
1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)( 6.5 p) (1~3問)
2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬) ( 9 p) (0~2問)
Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬(3~4問)
Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬(7.5p)(2~3問)
Ⅵ 婦人薬(1~2問)
Ⅶ 内服アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)(6p)(1~3問)
Ⅷ 鼻に用いる薬(3p)(1問)
Ⅸ 眼科用薬(5.5p)(2問)
Ⅹ 皮膚に用いる薬(2~4問)
XI 歯や口中に用いる薬(1~2問)
Ⅻ 禁煙補助剤 ( 2 p)(1問)
XIII 滋養強壮保健薬 ( 6.5 p)(2問)
XIV 漢方処方製剤・生薬製剤 ( 6 p)(1~3問)
XV 公衆衛生用薬(2~3問)
XVI 一般用検査薬( 4 p)(1問)
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