第3章 「Ⅲ 胃腸に作用する薬 」4 その他の消化器官用薬 ( 3.5 p)
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4 その他の消化器官用薬 ( 3.5 p)からは1~2問出題されています。
4-1)浣腸薬 ( 1.5 p) の頻出項目は4つ。しっかり押さえましょう。
第62項(過去4回出題)
繰り返し使用すると直腸の感受性の低下(いわゆる慣れ)が生じて効果が弱くなり、医薬品の使用に頼りがちになるため、連用しないこととされている。 |
浣腸薬は、繰り返し使用すると直腸の感受性が高くなり、効果が増強されるため、連用することが望ましい。(H23) |
浣腸薬は、直腸内に適用される医薬品であるが、繰り返し使用すると直腸の感受性が( a )なり、効果が( b )なるため、連用しないこととされている。(H25) |
繰り返し使用すると直腸の感受性が高くなり、効果が増強される。(H27) |
浣腸薬は、便秘の場合に排便を促すことを目的として、直腸内に適用される医薬品であり、繰り返し使用しても直腸の感受性の低下(いわゆる慣れ)が生じないため効果が弱くなることはない。(H29) |
浣腸薬は繰り返し使用すると感受性が低下して効き目が落ちるので、連用してはいけませんよ。ということです。
第63項
浣腸薬は一般に、直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである。 |
浣腸薬は、便秘の場合に排便を促すことを目的として、直腸内に適用される医薬品であるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性に対して適するとされている。(H21) |
浣腸薬は一般に、直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである。(H27,29) |
浣腸薬と妊婦についてです。
一般的に、妊婦さんが下剤などを使用するには注意が必要で、急激な作用があるものは避けるべきとされています。
第65項
配合成分としては、浸透圧の差によって腸管壁から水分を取り込んで直腸粘膜を刺激し、排便を促す効果を期待して、グリセリンやソルビトールが用いられる。 |
グリセリンやソルビトールは、浸透圧の差によって腸管壁から水分を取り込んで直腸粘膜を刺激し、排便を促す効果を期待して用いられる。(H24) |
また、注入剤の浣腸薬の配合成分としては、浸透圧の差によって腸管壁から水分を取り込んで直腸粘膜を刺激し、排便を促す効果を期待し、( c )やソルビトールが用いられる。(H25) |
グリセリンは、直腸内で徐々に分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生することで直腸を刺激 する作用を期待して用いられる。(H28) |
浣腸薬の成分は、浸透圧を利用したグリセリンやソルビトールなどがあります。
H28年は炭酸水素ナトリウムの坐剤についての記述ですね。
第67項(過去4回出題)
グリセリンが配合された浣腸薬が、肛門や直腸の粘膜に損傷があり出血しているときに使用されると、グリセリンが傷口から血管内に入って、赤血球の破壊(溶血)を引き起こす。 |
グリセリンが配合された浣腸薬は、肛門や直腸の粘膜に損傷があり出血しているときに使用されると、赤血球の破壊(溶血)を引き起こすおそれがある。(H23) |
痔出血の症状がある人に対し、グリセリンが配合された浣腸薬の使用を勧めた。(H24) |
グリセリンが配合された浣腸薬を、肛門や直腸の粘膜に損傷があり出血しているときに使用すると、グリセリンが傷口から血管内に入って、赤血球の破壊(溶血)を引き起こすおそれがある。(H27) |
肛門や直腸の粘膜に損傷があり出血しているときは、グリセリンが配合された浣腸薬を使用することが望ましい。(H28) |
グリセリン浣腸は幼児にも使用する比較的な安全な成分ですが、ひとたび血管内に入ってしまうと溶血の危険性があります。
4-2)駆虫薬 ( 1.5 p) も頻出項目は4つです。
(a) サントニン
第71項
回虫の自発運動を抑える作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。 |
回虫の自発運動を抑える作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。(H21) |
サントニンは、回虫に痙攣を起こさせる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。(H24) |
サントニン ― 回虫の自発運動を抑え、虫体を排便とともに排出する。(H25) |
痙攣をおこすのはカイニン酸です。
(c) ピペラジンリン酸塩
第75項
アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。 |
リン酸ピペラジン ― アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させ、虫体を排便とともに排出する。(H25) |
リン酸ピペラジンは、蟯(ぎょう)虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示す。(H26) |
ピペラジンリン酸塩は、アドレナリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる作用を示し、虫体を便とともに排出させることを目的として用いられる。(H28) |
殺虫作用はパモ酸ピルビニウムの作用で、ピペラジンはアセチルコリンを妨げます。
(d) パモ酸ピルビニウム
第76項
蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示すとされる。 |
パモ酸ピルビニウム ― 回虫に痙攣を起こさせ、虫体を排便とともに排出する。(H25) |
パモ酸ピルビニウムは、回虫の自発運動を抑える作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。(H26) |
パモ酸ピルビニウムは、アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。(H29) |
上から順に「カイニン酸」、「サントニン」、「ピペラジンリン酸塩」に関する記述です。
駆虫薬4成分の作用をまとめると
(a) サントニン | (b) カイニン酸 | (c) ピペラジンリン酸塩 | (d) パモ酸ピルビニウム | ||
虫体を排便とともに排出 | 回虫の自発運動を抑制 | 〇 | |||
回虫に痙攣を起こさせる | 〇 | ||||
アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺 | 〇 | ||||
殺虫 | 蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑える | 〇 |
「サンジ(自)、カイケイ(痙)、ピペラコリン、パモは殺虫」と韻よく覚えてみるのはどうでしょうか。
第79項
駆虫薬は腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばないため、それらが成虫となった頃にあらためて使用しないと完全に駆除できない。再度駆虫を必要とする場合には、1ヵ月以上間隔を置いてから使用することとされている。 |
駆虫薬は腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばないため、再度駆虫を必要とする場合には、1ヵ月以上間隔を置いてから使用することとされている。(H23) |
駆虫薬は、腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばない。(H26,28) |
駆虫薬は腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばないため、それらが成虫となった頃にあらためて使用しないと完全に駆除できない。(H29) |
いずれもYesです。
卵や幼虫には駆虫薬は効果がないので、成虫になった頃に改めて駆虫薬を使用することが望ましいが、1ヶ月以上間隔をあけなければいけません。
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第3章関連リンク=====================
第3章 主な医薬品とその作用(出題傾向)
Ⅰ 精神神経に作用する薬(7~8問)
1 かぜ薬 (3~4問)
6 小児の疳(かん)を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬) (0~1問)
Ⅱ 呼吸器官に作用する薬(3~4問)
1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)(2~3問)
2)代表的な配合成分等、主な副作用 efg 、3)相互作用、受診勧奨
2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽(そう)薬) (1問)
Ⅲ 胃腸に作用する薬(4~6問)
1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)( 6.5 p) (1~3問)
2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬) ( 9 p) (0~2問)
Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬(3~4問)
Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬(7.5p)(2~3問)
Ⅵ 婦人薬(1~2問)
Ⅶ 内服アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)(6p)(1~3問)
Ⅷ 鼻に用いる薬(3p)(1問)
Ⅸ 眼科用薬(5.5p)(2問)
Ⅹ 皮膚に用いる薬(2~4問)
XI 歯や口中に用いる薬(1~2問)
Ⅻ 禁煙補助剤 ( 2 p)(1問)
XIII 滋養強壮保健薬 ( 6.5 p)(2問)
XIV 漢方処方製剤・生薬製剤 ( 6 p)(1~3問)
XV 公衆衛生用薬(2~3問)
XVI 一般用検査薬( 4 p)(1問)
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