第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」3):出題詳細
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第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識
Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因
ここからは9~14問、平均約12問が出題されます。
第1章のメイン項目です。しっかり押さえておきましょう。
但し、決して難しい内容ではありませんので、冷静に理解しておきましょう。
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3)他の医薬品や食品との相互作用、飲みあわせ
まずは出題傾向です。
H27年度までは概ね2問出題されていましたが、H28年、29年は1問の出題でした。
(なお、H26年はほぼ0でした)
その中でも過去4題以上出題されている項目と、H27年以降に出題されている項目はしっかり押さえておきましょう。
第1項(過去4回出題)
複数の医薬品を併用した場合、又は医薬品と特定の食品(保健機能食品や、いわゆる健康食品を含む。)を一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり、減弱したりすることを相互作用という。 |
医薬品の相互作用では、作用が増強すれば、副作用が発生しやすくなる等の問題があるが、作用が減弱する分にあっては、特に不都合は生じない。(H21) |
複数の医薬品を併用した場合、又は特定の食品と一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり、減弱したりすることを相互作用という。(H23) |
複数の医薬品を併用すると相互作用が起こることがあるが、医薬品と食品を一緒に摂取しても相互作用は起こることはない。(H24) |
複数の医薬品を併用した場合、又は医薬品と特定の食品(保健機能食品や、いわゆる健康食品を含む。)を一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり、減弱したりすることを相互作用という。(H25) |
複数の医薬品や、医薬品と特定の食品を同時に摂取(併用)した場合に作用が増強したり減弱したりすることを相互作用と言います。
例えば腸溶性の製剤である下剤(コーラックなど)と牛乳を一緒に摂取すると、牛乳(弱アルカリ性)により胃酸が中和され胃内のpHが上昇し、本来腸で溶けるように設計された薬剤が胃で溶け始めてしまい、効果が減弱してしまうことがあります。
第3項(過去5回出題)
相互作用には、医薬品が吸収、代謝(体内で化学的に変化すること)、分布又は排泄される過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位において起こるものがある。 |
相互作用には、医薬品が吸収、代謝(体内で化学的に変化すること)、分布又は排泄される過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位において起こるものがある。(H21,24) |
相互作用には、医薬品が吸収、代謝、分布又は排泄される過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位において起こるものがある。(H23) |
他の医薬品や食品との相互作用は、医薬品が吸収、代謝(体内で化学的に変化すること)される過程で起き、分布又は排泄される過程では起こらない。(H27) |
相互作用には、医薬品が吸収、代謝、分布又は排泄される過程で起こるものと、医薬品が薬理作用をもたらす部位において起こるものがある。(H28) |
相互作用の中には効き目が反対のものや、一方の効果を一方の副作用が打ち消すことがあります。これが「薬理作用をもたらす部位において起こる」といいます。
例えば、便秘薬(下剤)と下痢止めを一緒に服用したらどうなるでしょうか?お互いに期待される効果が得られるとは考えられないですよね。
また胃薬を普段から使用している人が、頭痛薬を服用したらどうでしょう??
頭痛薬の副作用の一つで胃痛が現れることがあります。普段の胃薬の効果が減弱することが予想されますね。。
また、薬剤が全身に運ばれたり(分布)、排泄される際に運び屋のアルブミンの取り合いで起こる相互作用もあります。
第5項
一般用医薬品は、一つの医薬品の中に作用の異なる複数の成分を組み合わせて含んでいる(配合される)ことが多く、他の医薬品と併用した場合に、同様な作用を持つ成分が重複することがあり、これにより、作用が強く出過ぎたり、副作用を招く危険性が増すことがある |
一般用医薬品は、一つの医薬品の中に作用の異なる複数の成分を組み合わせて含んでいる(配合される)ことが多く、他の医薬品と併用した場合に、同様な作用を持つ成分が重複することがある。(H21) |
一般用医薬品を他の医薬品と併用した場合に、同様な作用をもつ成分が重複することがあるが、これにより、作用が強く出過ぎたり、副作用を招く危険性が増すことはない。(H27) |
一般用医薬品の最大の特徴の一つが複数の成分の「配合剤」であることでしょう。
このことにより、効能効果の幅が広がっています。
配合成分の重複についてアドバイスを行うことが店頭薬剤師や登録販売者の腕の見せ所です!!
かぜ薬と頭痛薬は一緒に服用してもいいでしょうか?
一般的にどちらにも解熱鎮痛成分や、鎮静成分、カフェインなどが含まれることが多いので、かぜ薬と頭痛薬を併用すると作用又は副作用が増強されてしまうことが心配になります。
第6項(過去5回出題)
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳 (がい)去痰(たん)薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多いため、これらの薬効群に属する医薬品は併用すべきではない。 |
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多く、通常、これらの薬効群に属する医薬品の併用は避けることとされている。(H22,23) |
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多いため、これらの薬効群に属する医薬品は併用すべきである。(H24) |
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬では、成分や作用が重複することはないため、通常、これらの薬効群に属する医薬品の併用を避ける必要はない。(H25) |
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多いが、作用が穏やかなため、これらの薬効群に属する医薬品は併用してもよい。(H28) |
第5項でも述べた通り、一般的に成分や作用が重複することが多いので、併用すべきではない!ということを覚えておいてください。
第7項(過去3回出題)
副作用や相互作用のリスクを減らす観点から、緩和を図りたい症状が明確である場合には、 なるべくその症状に合った成分のみが配合された医薬品が選択されることが望ましい。 |
副作用や相互作用のリスクを減らす観点から、緩和を図りたい症状が明確である場合には、なるべくその症状に合った成分のみが配合された医薬品が選択されることが望ましい。(H23,24) |
副作用や相互作用のリスクを減らす観点から、緩和を図りたい症状が明確である場合には、 なるべくその症状に合った成分のみが配合された医薬品が選択されることが望ましい。(H27) |
ここで言いたいのは…「自分は風邪だ」と思ってかぜ薬を買いに来たお客様に話を伺って、「風邪だけど今の症状は咳だけ」ということを聞き出せたとしたら、推奨すべきは総合かぜ薬ではなく「咳止め薬」である、ということが分かっていますか、ということです。
第9項(過去5回出題)
医療機関で治療を受けている場合には、通常、その治療が優先されることが望ましく、一般用医薬品を併用しても問題ないかどうかについては、治療を行っている医師又は歯科医師若しくは処方された医薬品を調剤する薬剤師に確認する必要がある。 |
登録販売者は、一般用医薬品の購入者に、同時に使用できない薬剤が医療機関等から交付されている場合には、その交付されている薬剤の使用を中止するよう説明すべきである。(H23) |
医療機関で治療を受けている場合には、その治療が優先されることが望ましい。(H24) |
医療機関で治療を受けている人は、一般用医薬品を併用しても問題ないかどうかについて、治療を行っている医師又は歯科医師若しくは処方された医薬品を調剤する薬剤師に確認する必要がある。(H25) |
医療機関で治療を受けている場合には、一般用医薬品を併用しても問題ないかどうかについては、治療を行っている医師又は歯科医師若しくは処方された医薬品を調剤する薬剤師に確認する必要がある。(H27) |
医療機関で治療を受けている場合は、一般用医薬品を併用しても問題がないかどうかについて、治療を行っている医師又は歯科医師若しくは処方された医薬品を調剤する薬剤師に確認する必要がある。(H28) |
登録販売者はお客様にアドバイスできるのは一般用医薬品の2類、3類のみです!
医療機関等から交付された薬剤に関することには触れてはいけません。
「鉄のおきて」だと思ってください。
第11項(過去7回出題)
アルコールは、主として肝臓で代謝されるため、酒類(アルコール)をよく摂取する者では、その代謝機能が高まっていることが多い。その結果、アセトアミノフェンなどでは、通常よりも代謝されやすくなり、体内から医薬品が速く消失して十分な薬効が得られなくなることがある |
酒類(アルコール)は、医薬品の吸収や代謝に影響を与えることがある。(H21,22) |
酒類(アルコール)をよく摂取する者では、肝臓の代謝機能が低下していることが多いため、アセトアミノフェンの薬効が増強される。(H23) |
酒類(アルコール)は、主として小腸で代謝されるため、医薬品の吸収や代謝に影響を与えることはない。(H25) |
アルコールは、主として( a )で代謝されるため、酒類(アルコール)をよく摂取する者では、その代謝機能が高まっていることが多い。その結果、アセトアミノフェンなどでは、通常よりも( b )なり、体内から医薬品が( c )消失し、十分な薬効が得られなくなることがある。(H26) |
アルコールは、主として腎臓で代謝されるため、酒類(アルコール)をよく摂取する者では、その代謝機能が高まっていることが多い。(H27) |
酒類(アルコール)をよく摂取する者では、肝臓の代謝機能が高まっていることが多い。その結果、アセトアミノフェンなどでは、通常よりも代謝されやすくなり、体内から医薬品が速く消失して十分な薬効が得られなくなることがある。(H29) |
頻出問題ですよ。
アルコール=肝臓の負荷が増える
⇒肝臓鍛えられる
⇒アセトアミノフェン(肝臓で代謝される)の代謝が早まり効果減弱
ということです。
※普段飲酒しない人がたまたま飲酒した場合は、まったく逆になりますので注意(問題には出ません)
第12項
外用薬や注射薬であっても、食品によって医薬品の作用や代謝に影響を受ける可能性がある。 |
外用薬や注射薬であれば、食品によって医薬品の作用や代謝に影響を受けることはない。(H27) |
食品と医薬品の相互作用は、しばしば「飲み合わせ」と表現されるが、内服薬以外であっても、食品によって、医薬品の作用や代謝が影響を受ける可能性がある。(H29) |
H27年に初めて出題されました。
医薬品の相互作用は内服薬だけの話ではないということです!!
第13項(過去5回出題)
カフェインやビタミンA等のように、食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在するために、それらを含む医薬品と食品(例:カフェインとコーヒー)を一緒に服用すると過剰摂取となるものもある |
食品中に医薬品の成分と同じ成分が存在することがある。カフェインを主成分とする医薬品と一緒に摂取すると、一般的に、カフェインの過剰摂取となるおそれのある食品はどれか。(H21) 《選択肢》1 卵 2 コーヒー 3 ビール 4 ワイン 5 納豆 |
食品には、医薬品の成分と同じ物質を含むものもある。(H22) |
ビタミンAは、ビタミンAを含む医薬品の服用量にさえ注意すれば、過剰摂取になることはない。(H23) |
カフェインやビタミンA等のように、食品中には医薬品の成分と同じ物質が存在する場合があり、それらを含む医薬品と食品を一緒に服用すると過剰摂取となるものがある。(H25) |
食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在する場合があり、その物質の摂取される総量が継続して過剰にならないよう注意を促すことが重要となることがある。(H29) |
カフェインとコーヒー、ビタミンAとサプリメント、カンゾウと甘草を含む甘味料など、同一成分を含む医薬品と食品があります。
(余談ですが、ビタミンAは食品中では主にβ‐カロチンという水溶性成分で含まれています。問題になるのはビタミンAとして含まれる場合です。)
第14項
生薬成分等については、医薬品的な効能効果が標榜 ぼう 又は暗示されていなければ、食品(ハーブ等)として流通可能なものもあり、そうした食品を合わせて摂取すると、生薬成分が配合された医薬品の効き目や副作用を増強させることがある。 |
生薬成分が配合された医薬品とハーブ等の生薬成分を含む食品をあわせて摂取すると、医薬品の効き目や副作用を増強させることがある。(H22) |
生薬成分が配合された医薬品は、生薬成分を含有する食品と合わせて摂取すると、効き目や副作用が増強されることがある。(H25) |
生薬成分等については、医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていなければ、食品(ハー ブ等)として流通可能なものもある。(H27) |
多くの生薬が「ハーブ」や食材、調味料として利用されています。
例えば生姜は薬味として一般的ですが、ショウキョウとして漢方薬にも含まれています。漢方の「医食同源」という考え方があり、食材を上手に利用すると健康にいい、とされています。
これはこれでいいのですが、あくまでも「食品」であり、効能効果を標ぼうしてはいけないことになっています。
第15項
【第3章】カフェインは、他の医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬、乗物酔い防止薬、滋養強壮保健薬等)や医薬部外品(ビタミン含有保健剤等)、食品(お茶、コーヒー等)にも含まれているため、それらが眠気防止薬と同時に摂取されるとカフェインが過量となり、中枢神経系や循環器系等への作用が強く現れるおそれがある。 |
カフェインを主薬とする眠気防止薬は、お茶と同時に服用すると循環器系に作用が強く現れる場合がある。(H27) |
H27年以降、反則な出題がチョクチョクあります。
本来は第3章で出題されるべき事項が第1章で出題されています。
とはいえ、内容的にはそれほど難しくはないので、「こんな問題も出ることがある」と割り切りましょう。
第16項
【第3章】制酸成分を主体とする胃腸薬については、酸度の高い食品と一緒に使用すると胃酸に対する中和作用が低下することが考えられるため、炭酸飲料等での服用は適当でない。 |
中和反応によって胃酸の働きを弱めること(制酸)を目的とする成分を主体とする胃腸薬については、炭酸飲料等の酸度の高い食品と一緒に服用すると、効き目が強くなり過ぎるおそれがある。(H29) |
前項と同様です。
この問題では、胃酸+炭酸飲料 ⇔ 制酸成分 の戦いになるということを理解できていれば難しくはありません。
相互作用については以上です。1~2問の出題が見込まれますので、しっかり押さえておきましょう。
第1章 関連項目リンク
第1章「Ⅰ医薬品概論」出題詳細① - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅰ医薬品概論」出題詳細② - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅰ医薬品概論」出題詳細③ - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」1):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」2):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」3):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」4)a:出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」4)bc:出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」4)de:出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」5):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」6):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「III 適切な医薬品選択と受診勧奨」1):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
第1章「III 適切な医薬品選択と受診勧奨」2):出題詳細 - 登録販売者試験 過去問から導く最強対策《東海北陸版》
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