第3章 「XV 公衆衛生用薬」 1 消毒薬( 2.5 p)
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XV 公衆衛生用薬 ( 9 p) からは1~3問の出題となっています。だいたい2問時々3問だったのですが、29年は1問だけの出題でした。
9ページで1問だとかなりきついですね。。。
内訳は「1消毒薬」から1問、「2殺虫剤・忌避剤」から1問出そうです。
「1消毒薬」からの過去3回以上の出題項目は5つあります。
第2項(過去4回出題)
① クレゾール石鹸液 結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、大部分のウイルスに対する殺菌消毒作用はない。 |
クレゾール石鹸液は、ウイルスに対する殺菌消毒作用がエタノールより強い。(H22) |
クレゾール石鹸液は、一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して広い殺菌消毒作用を示す。(H23) |
クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。(H27) |
クレゾール石鹸液は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示す。(H28) |
全てNoです。
次のアルコール系消毒成分との混同で引っ掛けてきます。
クレゾールはウイルスNG!
と覚えましょう。
第5項(過去4回出題)
② エタノール、イソプロパノール アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用を消失させることから、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。ただし、イソプロパノールでは、ウイルスに対する不活性効果はエタノールよりも低い。 |
イソプロパノールは、微生物の蛋白質を変性させ、結核菌を含む一般細菌類や真菌類に対する殺菌消毒作用を示す。(H22) |
エタノール、イソプロパノールは、アルコール分が微生物の蛋白質を変性させ、一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない。(H23) |
イソプロパノールは、ウイルスに対する不活性効果がエタノールよりも高い。(H25) |
イソプロパノールは、アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用を消失させることから、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。(H26) |
アルコール系消毒成分はタンパク質変性作用があるので、細菌だけではなくウイルスにも消毒作用を示すのです。
また、イソプロパノールはエタノールよりも穏やかとイメージしましょう。
※ただし、すべてのウイルスに効果があるわけではありません。インフルエンザウイルスには効果がありますが、ノロウイルスには無効です。
第8項
① 塩素系殺菌消毒成分 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、通常人体の消毒には用いられない。 |
サラシ粉は、皮膚刺激性が弱く、手指・皮膚の消毒に用いられる。(H22) |
次亜塩素酸ナトリウムは、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対し殺菌消毒作用を示し、皮膚刺激性も弱いため、人体の消毒によく用いられる。(H23) |
サラシ粉は塩素系殺菌消毒成分であり、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対し殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、通常、人体の消毒には用いられない。(H26) |
塩素系は刺激が強く、物専用の消毒剤と覚えましょう。
一般商品では花王の「ハイター」シリーズが有名ですね。一般用品の用途としては「殺菌・消毒・漂白」などに用いられます。
第10項(過去5回出題)頻出です!
② 有機塩素系殺菌消毒成分 ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。 |
トリクロルイソシアヌル酸は、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられる。(H22) |
トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。(H23) |
ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムは、塩素臭や刺激性、金属腐食性が強く、プールの殺菌・消毒に用いることができない。(H25) |
クレゾール石鹸液は、原液を水で希釈して用いられ、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。(H26) |
ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムは、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。(H28) |
塩素系消毒成分に比べて、有機塩素系消毒成分は刺激性も抑え気味でプールなど間接的に人体に触れる設備の消毒にも利用できます。
H26年の出題はクレゾール石鹸液と混同して引っかけています。
2年に1回以上出題されますのでしっかり押さえておきましょう。
トリクロルイソシアヌル酸なんて、今まで聞いたことないですよね!薬剤師でもほとんどピンと来ない聞きなれない成分です。
ただ試験ではこの名前を見て「あ、有機塩素系消毒成分だ」と分からないといけません。どうすればいいか…
化学名はその名前の中にヒントがあります。トリクロルイソシアヌル酸はトリ・クロル・イソ・シアヌル酸と分解できるんです。
このうち、トリ=「3」、クロル=「塩素」という意味があります。
クロルという文字が名前に含まれていれば塩素の入っているやつだな、と思ってください。(ちなみにジ=「2」という意味です)
第12項
(a) 誤って飲み込んだ場合 一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳などを飲ませるが、手元に何もないときはまず水を飲ませる。いずれにしても中毒物質の消化管からの吸収を遅らせ、粘膜を保護するために誤飲してから数分以内に行う。なお、原末や濃厚液を誤って飲み込んだ場合には、自己判断で安易に吐き出させることは避ける。 |
消毒薬を誤って飲み込んだ場合、一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳などを飲ませるが、手元に何もないときは、まず水を飲ませる。なお、消毒薬の濃厚液を飲み込んだ場合、自己判断で安易に吐き出させることは避ける。(H21) |
誤って飲み込んだ場合の応急措置として、数分以内に多量の牛乳などを飲ませる。(H24) |
消毒薬を誤って飲み込んだ場合は、一般的な家庭における応急処置として、通常は多量の牛乳などを飲ませるが、手元に何もないときはまず水を飲ませる。(H28) |
全てYesです。
家庭での消毒薬の誤飲事故の対処についてですね。なかなかこういった場面に遭遇することはありませんが、基本的な考え方を覚えておくと、店頭だけでなく自分の生活の中でも役立つかもしれませんね。
牛乳を飲ませる理由:牛乳は蛋白質が豊富です。多くの消毒成分は蛋白質を変性させたりしますので、消化管粘膜(=蛋白質でできている)に作用してしまう前に牛乳の蛋白質を「身代わり」とすることが目的です。
安易に吐き出させてはいけない理由:胃や小腸の粘膜は粘液で覆われて防御されていますが、食道は粘液が分泌されないので無防備です。一旦胃に到達した誤飲薬物を安易に吐き出すと食道粘膜を通過させることとなり、食道のダメージが大きくなってしまいます。
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第3章関連リンク=====================
第3章 主な医薬品とその作用(出題傾向)
Ⅰ 精神神経に作用する薬(7~8問)
1 かぜ薬 (3~4問)
6 小児の疳(かん)を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬) (0~1問)
Ⅱ 呼吸器官に作用する薬(3~4問)
1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)(2~3問)
2)代表的な配合成分等、主な副作用 efg 、3)相互作用、受診勧奨
2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽(そう)薬) (1問)
Ⅲ 胃腸に作用する薬(4~6問)
1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)( 6.5 p) (1~3問)
2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬) ( 9 p) (0~2問)
Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬(3~4問)
Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬(7.5p)(2~3問)
Ⅵ 婦人薬(1~2問)
Ⅶ 内服アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)(6p)(1~3問)
Ⅷ 鼻に用いる薬(3p)(1問)
Ⅸ 眼科用薬(5.5p)(2問)
Ⅹ 皮膚に用いる薬(2~4問)
XI 歯や口中に用いる薬(1~2問)
Ⅻ 禁煙補助剤 ( 2 p)(1問)
XIII 滋養強壮保健薬 ( 6.5 p)(2問)
XIV 漢方処方製剤・生薬製剤 ( 6 p)(1~3問)
XV 公衆衛生用薬(2~3問)
XVI 一般用検査薬( 4 p)(1問)
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